ケン・オーレッタ Google秘録 完全なる破壊 読んだ。
- 作者: ケン・オーレッタ,土方奈美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05/14
- メディア: 単行本
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Googleの隆盛経緯はビジネス軍記モノです。
- ユーザーの視点
- 時として必要以上に複雑さを見せる利益構造を嫌って変化を求める技術者視点
- 変化によって身を切らざるを得ない既存業界関係視点
いずれかに寄るかどうかだけで、善悪が大きく逆転して見える部分が多々ありますが、筆者が視点の中立性にできるだけ配慮している節にはかなり好感を抱きました。類する問題をより多面的に考えてみたい時に、「事実こういう事が起こった」という内容は参考になりますね。
その反面と言いますか、必要以上に含ませたり、拡大解釈やすっ飛んだ自論を書いてしまったりしないため示唆をもたらす可能性のあるトピックをとにかく並べているだけにも見えます(もちろん物語仕立てとか文語表現とか細かい工夫はあるのですが)。正直なところ企業年代記や経営論よりも技術文書のほうが見慣れてる身としては「コレ、年表と取材記録TIPSみたいな図説形式の方がスッキリまとまったんじゃないの…?」という印象もありました。確かに企業年代記風というのも、いかにも「読んだ」感こそありますが、情報の吸収効率としてはどうなの?という…こんな点にもGoogle的な対立構造は生まれそうですね。またこういった視点でのインフラ改革の断行がITベンチャーのチャンスになりえるんだろうなという気もします。
それにしても、2010年出版時点に比べてもGoogleサービスのいたるところに広告が出るイメージは浸透してますから、IT業界の展開はさすがに早いものですね。本書の内容も風化の早いネタですから、短く編纂してWeb上で公開するのも面白いかも?